〒860-0811 熊本市中央区本荘5丁目16番10号 096-363-3311 096-362-0222

上部消化管外科

上部消化管疾患では食道癌、食道アカラシア、食道裂孔ヘルニア、胃癌、胃 GIST、胃・十二指腸潰瘍(出血、穿孔例)などを取り扱っています。その中で多いのは胃癌であり、図1に術式別手術件数の年次推移を示しますように、現在年間約40例の手術件数です。近年腹腔鏡下手術件数が増加し、全体の半数程度を行っています。腹腔鏡下手術は主に早期癌を対象としD1+郭清を行いますが、低侵襲が望まれる症例では進行癌にも行う場合があります。また胃癌に対する腹腔鏡下胃切除術の術式は幽門側胃切除術、胃全摘術、噴門側胃切除術を行っています。進行癌/リンパ節転移症例などでは、主に開腹手術(D2郭清)を行っています。また、これらの症例では、適応があれば治療の効果を上げる目的で術後補助化学療法を行います。当センターでの胃癌術後長期成績(生存曲線)を図2に示します。
胃癌または胃潰瘍手術後の残胃にできた癌のことを残胃癌といいます。その発生率は胃癌全体の1-2%と少ないのですが、進行癌の場合予後が不良といわれています。当科における過去28年間80例の残胃癌手術症例を調査しましたところ、ステージ別の生存率は図3のようにやはり通常の胃癌よりもやや低くなりました。また、図4のように進行残胃癌(pT3/pT4)においては脾摘を伴うリンパ節郭清が予後の改善につながる結果となりました。その理由は進行残胃癌(pT3/pT4)における高率の脾門部リンパ節転移(30.4%)によると考えられました。この結果は欧文雑誌Surgeryに掲載されました(参考文献:Sugita H, et al. Surgery 2016;159:1082-1089)。

肝臓・胆道外科

図9. 肝 S2 HCCに対する術前検査

術前に肝予備能を十分に吟味して安全な肝切除を行っています

図10. 胆道癌のステージ別生存曲線

膵臓外科

鼠径ヘルニア外科

鼠径ヘルニアは、腹部と下肢の境界付近の腹壁がやや脆弱な部分から、腹腔内の脂肪や腸管・膀胱などの臓器が皮下や筋層内に脱出する状態です。局所の痛み・不快感が主な症状ですが、腸管が脱出してはまり込む 嵌頓(かんとん)という状態になりますと緊急処置や手術が必要になります。 病気というよりも体の構造の歪みのようなもので、内服薬や装具での根治法はないため手術が唯一の治療法です。脆弱になっているヘルニアの出口部分(ヘルニア門)を補強する手術を行いますが、近年の標準手術は人口補強材(ポリプロピレン製などのメッシュ)を用いて補強を行う方法です。さらに、鼠径部に直接アプローチする前方切開法と、鼠径部から離れたところからアプローチする鏡視下手術に大別されます。当院では両術式とも行っており、患者さんに最適な術式を選択しています。関連疾患として、大腿ヘルニア、閉鎖孔ヘルニア、腹壁瘢痕ヘルニアなどがあります。

図16.鼠径ヘルニア手術の模式図

呼吸器外科

肺癌は、近年増加傾向にある疾患であり、検診や各種画像診断の向上により早期肺癌が発見されることが増加しています。肺癌の標準治療は、肺葉切除 + 縦隔リンパ節郭清であり、近年は胸腔鏡下に手術を行うことが標準となっております。しかしながら、高齢者や患者の全身状態によっては、標準手術(肺葉切除 + 縦隔リンパ節郭清)を受けることが難しい患者さんも増加しており、より手術侵襲が少なく根治性を損なわない術式として切除する肺の範囲をより限定した胸腔鏡下肺区域切除も選択する様になってきています。

当センターでは年間約30例あまりの肺悪性腫瘍手術を行っておりますが、その全てに胸腔鏡補助下手術(VATS:Video-Assisted Thoracoscopic Surgery)を実施しております。患側胸壁に約6cm程度の小開胸と約1cmのポート孔2カ所のみで肺葉切除もしくは肺区域切除+縦隔リンパ節郭清術を施行して様々な病状に対応できるようにしております。従来の標準開胸である後側方切開では、約20-30cmの皮膚切開を行うために術後疼痛も強く・胸腔ドレーン留置期間も長期化することがありましたが、VATSでは創痛・ドレーン留置期間のいずれも軽減され、根治性を損なわずに患者満足度の高い術式と思われます。

また、自然気胸症例では、胸腔鏡下ブラ切除を全症例に対して行い、胸腔ドレーンは原則術翌日に抜去する方針としています。このため、短期入院での加療が可能であり2-5日間程度で退院可能となり、 患者さんのニーズに合わせた対応が可能です。

スタッフ紹介